うつが原因で不倫?
実は不倫の背景に、「うつ」が隠れている場合があります。
うつ病の主な症状として、気分の落ち込み、不眠(または過眠)、食欲不振(または過食)、疲労感、気力の減退、罪責感、集中力の低下、などがあげられます。ひどい人は「死んでしまいたい」「消えてなくなりたい」と自殺を考えたり、実際に計画や未遂行為に及ぶ人もいます。
このように症状をあげてみると、精神的に落ち込んだ状態がうつなのだから、不倫をするような余裕はないのでは?と思われるかもしれませんが、実は、落ち込んだ気分をなんとか引き上げようと、不倫をしている可能性があるんです!
一般的に、うつ病というのは、自分で自分が病気だと思えない (病識に欠ける、などと言います) ことが多いです。
気分が落ち込み、もやもやしながらも、精神的な病気だとは気づかず、なかなか受診につながらない人も、少なくありません。
特に男性の場合は、自分の心が弱っているのを表に出せない人が多いのです。
その大きな理由として、以下の2点があげられます。
- 周囲に馬鹿にされるのをおそれている(ダメな奴と思われたくない)
- 自分の感情に鈍感で、自分の状態に気づきにくい
まず、男性は、小さな頃から「男の子なんだからメソメソしちゃだめ」「男の子らしく堂々と振舞いなさい」と言われて育ってきています。「ドラえもん」ののび太君のような、ちょっと気弱なタイプの男の子は、いじめの標的になりやすいですよね。そういった環境が、自分が弱い存在であれば被害をこうむることになる、という刷り込みになり、弱音を吐きにくい状況を作っているのです。
また、何か嫌なことがあっても、男性がそれを話したり、愚痴を吐き出すと「女々しい」とされてしまいます。「男は黙って○○」というビールのキャッチコピーが昭和の時代にありましたよね?感情は吐き出すものではない、誰かに話すものではない、という暗黙のルールが設定されてしまっているのです。
こんな状況では、素直に自分のうつ状態を受け入れて、積極的に受診する方が困難ですよね?
なんだか気持ちが上がらない、いつもモヤモヤする。何をしてもうまくいかない(ような気がする)、みんなが自分を責めている気がする…
そんな状況を打破するために、毎晩飲酒する人、パチンコに行く人、そして、不倫をする人がいるんです。
とにかくスカッとしたい、という、いわば自己治療なんですよね。
不倫でのセックスで気持ちがよくなっても、それはその場しのぎにすぎないので、当然ですがまた気持ちは落ち込みます。すると、またスッキリした感覚を味わいたくて、「彼女に会いたい(セックスしたい)」と、無限ループにはまっていきます。
妻とのセックスではなぜダメなの?と思われるかもしれません。
うつ状態の時は、「自分は孤独だ」と思いこんでいることが多く、妻を敵視しがちです。あるいは、うつからの性欲減退などで「最後までできないかもしれない」という不安があるとき、妻に弱みを見せられない、という意識が強く働く場合もあります。
要するに、その場限りの付き合いだからこそ、プレッシャーのないセックスができて、スッキリするのではないでしょうか。
ちなみに不倫の内容ですが、会社の同僚など身近な人に声をかける人もいますし、風俗を利用する人もいますし、出会い系アプリを何社も使いまわす人もいます。
私のこれまでの相談の経験では、特定の人1人との不倫だからとも、不特定多数の人とやりまくってるからとも言えない印象です。どちらのケースもうつが隠れている可能性はありそうです。
妻はどのように対応すればいいのか
それでは、妻としてはどのように向き合えばいいのでしょうか。
1.自分を責めないで
このタイプの不倫夫は、「自分の心が安定しないのは、妻のせいだ」と思いこんでしまい、攻撃的になる人が多いのです。なんなら不倫そのものについても、「妻が優しくしてくれなかったから不倫したのだ」と責任を押し付けてくる場合もあります。
多くのうつの人には、「認知の歪み」があるのです。自分の方が加害者にも関わらず、こうなったのは妻のせいだ、と、思いこんでしまっているのです。
「私の接し方が悪かったのかも…」と、自分を責める必要はありません。もし仮に、本当にご主人に対して冷たく対応した部分があるなら、その点だけ責任を負えばいいのです。「たしかに私も悪かった。だけどあなたの不倫で、私はとても傷ついたの」と、こちらの気持ちをしっかり伝えましょう。
2.「男のくせに…」は禁句
「男らしくいなければならない」と思っている人に対して、「あなたは男らしくない」と言ってしまってはいけません。
「男のくせに優柔不断、はっきりしない」などと言う人が、クライアントさんの中にもたまにいらっしゃいます。
その背景には、「頼りにしたい」「任せたい」「引っ張っていってほしい」という気持ちがあるのだと思います。期待が裏切られてしまうのでしょう。そもそもパートナーに依存的な女性に多いです。
最初に書きましたが、男性の多くは自分の感情表現が苦手です。あいまいな話でよくわからないこともあると思います。
相手が話をしようとしている時には、まずは寄り添い、耳を傾けてみましょう。
くれぐれも「そんなことでくよくよするなんて」と否定してはいけません。「素直に打ち明けてくれてうれしい」、「少しでもあなたの気持ちが知りたいから教えてほしい」と、相手が本音を吐き出しやすい土台をつくるようにしましょう。
3.受診を勧めたいときは
心療内科・精神科への受診を勧めたいとき、「あなたは病気だから病院に行くべきだ」と言って、素直に応じる人はまれです。
ここは、「北風と太陽」を思い出してください。優しく寄り添って、「私はあなたのことが心配。あなたによくなってほしいから、一緒に先生に相談しましょう」と促していくのが理想です。
不倫に傷ついた奥様自身が、すでに受診されている場合もありますよね。同じ病院に一緒に行くことは悪くはないのですが、「自分が悪いと責められるのでは、説教されるのでは」という不安を抱く方も少なくありません。例えば、診察とカウンセリングを受ける場合は、それぞれ別のカウンセラーさんに担当をお願いするなど、事前に主治医の先生とよく相談してみることをお勧めします。
投薬などの治療が進むにつれ、精神状態は安定してくると思います。うまくいけば、妻に対してイライラすることも減り、なんであんなことをしてしまったのか、と、不倫を後悔することもできる可能性があります。数ヶ月、年単位の治療になりますが、根気よく続けていくことが重要です。
なお、受診を勧めたくてもうまくいかない、受診した方がいいのかわからない、といった場合は、もちろん私も力になりますが、お住まいの自治体の保健センター・保健所・精神保健福祉センターなどでも無料で相談できますよ。
4.無理せず、別居・離婚を選んだっていい
不倫夫にさんざん振り回され、辛い目に遭っていらっしゃる方、たくさんいると思います。
妻には妻の人生があります。「病気なんだから我慢しなさい」というつもりはサラサラありません。これ以上は家族でいられないな、もう頑張れないな、と思ったら、別れを決断してもいいです。
「病気の夫を見捨てたヒドイ妻」と思われるのが不安でしょうか?
自分が傷だらけの状態なのを放置して、相手の傷を癒そうとしなくていいんですよ。
別居や離婚も、大きな決断ですし、 特に今後の生活上、経済面の話し合いは重要です。 弁護士さんなどの専門家とよく相談して、自分がどうしたいか決めていくとよいでしょう。
ご主人の浮気・不倫に傷つき、一人で悩んでいませんか?
そんなあなたにお伝えしたい20のメッセージをまとめました。
どうぞお受け取りください。